「あのね、」主に呼ばれて下を見る。わざわざ屈んだりはしない。主の声ならきちんと耳まで届いている。一言も聞き漏らさない。「長谷部、」「ここにおりますよ」にこ、と笑ってやる。主は俺の顔がお気に召しているらしい。今日あったああでもないこうでもないと主の話に耳を傾ける。話の切れ目の隙をついた。今度は膝をついて、下から見上げる。「俺はここにおりますよ。あなたのそばに」主の片手を両手で包んで、口を寄せる。唇を押し付けて、手を離した。お慕いしております。
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